国試サマライズ受講してみた(サマライズQuick編)

医師国家試験

Quickってなんぞや

えぇ・・・自分の知らないサマライズがあるんですけど,これは何ですかね?
ふむふむ.どうやら,小児科・産婦人科・マイナー科を1コマ30分で受講できるらしい.そんな短時間の講義で大丈夫なの?サマライズしきれるのかしら?
しかも自分が受講した時代(115回)は小児科と産婦人科のサマライズはなかったはず.ますます不安になってきた.とりあえず受講開始!

小児科

2コマありました.点差のつく発熱,川崎病,感染症を中心に扱い,過去問を徹底比較して最後の点検箇所を教えてくださる講義でした.特に小児科は実習でも経験しにくい領域で,臨床像が思い浮かびにくい領域ですが,孝志郎先生の臨床経験に基づいた話でそこはカバー出来ますね.十分すぎるほどです.これに小児科対策講座をしっかり勉強していれば十分ではないでしょうか.受験生が苦手とする発熱シリーズで統一して臨床像を示しているテキスト並びは秀逸の一言です.

途中に挟まれている臨床アドバイスではガイドラインなどがすっきりまとめられており,どこを勉強すべきか示してくれています.

私は当時も今も小児科には苦手意識がありますが,この講座で小児科の扱いづらい問題や過去問演習の仕方を明確に言語化してお手本を見せてくれており,苦手意識がなくなりました.短時間でも十分な講座でした.

産婦人科

1コマでした.過去に割れた問題中心に扱っていました.特に受験生が苦手とする感染症診療と抗菌薬,腫瘍ステージ分類と治療方針,卵巣腫瘍などが中心でした.過去3年分の割れ問はリバイバルが来るので,サマライズで確認しておいた方がいいですね.30分でこれをまとめてもらえるのは後期の勉強方針として有り難いですね.産婦人科の臨床アドバイスは次の年度で出題される可能性が高いと思って間違いないでしょう.実際,受験生が苦手とする得点差のつく分野がまとめられています.

眼科

ここからマイナー科です.基本的に,クリアカットに症候,身体所見,検査,治療がボックスでまとめられていて見やすくなっていました.テキストデザインが良いですね(MECテキスト全般に言えることですが・・・).受験生が苦手とする領域をコンパクトにまとめてあるイメージでテキスト作成されていますね.しっかり病態生理の話もまとめられており,受験生が理解しにくい疾患も基礎から学び直せるのは良い点でした.ただ眼科は検査機器の理解も必要なので,そこの補足説明をサマライズしてもらえたら良かったかなと思います.今後に期待ですね!

耳鼻科

意外と得点差がつくなと思うような疾患・症候を全編にわたって解説している印象でした.もちろん,サマライズQuickは5章立てで,最後に得点差のつくテーマを解説していますが,耳鼻科は特に苦手としている人が多い印象です.というのも,伝音難聴なのか感音難聴なのか,外耳系・中耳系・内耳系の障害なのか・・・など,システム毎に分けて考えなくてはならないからです.そのシステム毎の病態理解を講座内でしっかり助けてくれていますし,最後のまとめとして視聴すると総仕上げや理解の追いついていない部分が分かって良いです.一点残念な箇所としては,オージオグラムのまとめがもう少しボリュームあると良かったかなと思います.オージオグラムは苦手とする受験生が多い印象なので,テキストに収載されている問題のような類題や改変問題,予想問題が多いと嬉しいかなと思います.

整形外科

Dr.孝志郎はリングドクターの経験もある先生のなのでスポーツ外傷の話を織り交ぜて解説してくださるので臨床像が頭に残りやすいです.また,整形外科は神経支配との闘いですね.特に受験生が嫌がり,かつ必ずと言って良いほど出題されて得点差のつくL4~S1領域の鑑別の仕方をすっきり解説してくださっており,目から鱗でした.これは必見ですね.また他の診療科に比べて,予想問題や改変問題が多く扱われており,手を替え品を替えの国試に対して,模試を受けているような感覚で受講できました.骨折の画像診断の仕方も講座内で収録されているので,見ておきましょう.試験本番の限られた時間内で骨折線を見るのは至難の業です.

泌尿器科

尿管結石からスタートしました.結石ごとき・・・と思うかもしれませんが,意外と処置で点数を落としがちな分野ですね.尿管結石の鑑別も大事です.しっかりサマライズQuickで確認しておきましょう.救急で使えそうな予想問題も載せられていました.

全体的にはパターン暗記からの脱却というような印象を受けた講座でした.臨床問題をしっかり研究して,必修や一般問題で問われそうな知識が満載でした.

最後の「得点差のつくテーマ」の1問111回A-23はかなり重要な問題で,これを理解して人に説明できるくらいになってからじゃないと,本番には挑めないですね.しっかり解説を聞いて,誤答選択肢がなぜ誤りなのか?他の臨床問題から根拠を全て持ってこられるように勉強して,初めて理解したというレベルになるでしょう.ちなみに,現役時代の私はこの問題をよく間違えていたので,泌尿器が弱点分野だったんだなと思いました.今更それを理解しました(苦笑).

精神科

孝志郎先生曰く,識別指数が高い科目と言うことで,全体的に問題数も講座時間もボリューミーでした.精神科は言葉の定義が大事で難しいですからね.そこを乗り越えないと行けないのが辛いところ.実際,近年の国試の精神科医で難しい問題は言葉の定義で悩むような問題が多かったと思います.それに加えて,英単語の問題も精神科領域から出題されるとぐっと得点率が下がる印象があります.サマライズでは英単語の復習も所々でするので,そこは安心できる点ですね.あと精神科といえども病態生理がしっかり解説されているのは良い点だなと思いました.扱っている話題は鬱病,統合失調症,パニック障害など毎年出題されるところで,急所となる得点差がつく知識をしっかりまとめているので,精神科で点数を落としにくくなるでしょう.

改めて用語の定義をしっかり確認しておくこと,問題文をしっかり読むこと.この訓練をサマライズでしましょう.そういえば,精神科の検査とか結構苦手意識強い人がいると思うので,サマライズに収録してもらえると嬉しいかなと思いました.

皮膚科

いや,秀逸の一言ですね.「痒いか・痒くないか」,「痛いか・痛くないか」,それでまとめようという発想はありませんでした.皮膚科は写真で診断を考える箇所もあり,また病理所見も読めなくてはならないので,そういうなかで受験生にはない観点で臨床問題の解き方を教えてくださるのはすごかったです.また,マーク試験なので,写真の部位から除外選択肢を決められるというやり方も面白かったです.これは講座視聴の価値ありですね.また,Dsg1,Dsg3に対する自己抗体が勉強しにくいという受験生は多いと思いますが,それもしっかりまとめられています.一つ注文としては,紅斑の鑑別はもう少しボリュームがあっても良かったのかなと思います.最後の総仕上げでまとめておくと安心材料になるかなと思いました.

結論

推奨度は☆★★★★/星4つですね.まだ始まったばかりの講座と言うこともあり,30分でまとめようという試みは過去問対策を同時並行でやらないといけない忙しい後半戦では有り難いと思いますが,もう少しまとめてほしいな,載せてほしいなと思う内容もありました.時間的な制約もあり難しかったのかもしれませんが,今後に期待ですね.しかし,受験生が苦手とする箇所を一つのテーマで臨床問題を並べて解説するテキスト並びは素晴らしかったです.

一方,メジャーサマライズの記事でも述べましたが,基礎がしっかりしてないと受講しても太刀打ちできない,自分の知識に出来ないと思います.特にマイナー科目はサマライズで有名な赤いきつね・緑のたぬきの出番は少なく,どちらかというと基礎で抜け落ちている,見落とされがちなテーマを総復習しようという傾向が強い講座でした.したがって,本当に臓器別で基礎がしっかり出来た人が受講すべき講座でしょう.メジャーではお勧めしましたが,最終的な到達点の確認をするために視聴,と言う意味合いではサマライズQuickはオーバーワークかもしれません.30分だけとはいえ,基礎が出来ていない人が予習しようにも大変だと思います.

テキストデザインは見やすく,クリアカットにまとめられており,名前の通りクイックに復習しやすいようにされています.試験本番でも隙間時間に復習しやすいですね.

最後に

今回はMECさんの計らいにより最新の国試サマライズを見せていただくことが出来ました.かつてサマライズを受講した一人として,テキスト・講座ともに進化しており,医師国家試験対策講座として不朽の名作だと確信しました.一方で,サマライズQuickはまだまだ改訂の余地ありという感じがしますが,これもまた118回に向けて進化していくのでしょう.目が離せないですね.

国家試験対策は所詮暗記だというところからの脱却として,3年分の医師国家試験をしっかりまとめ上げること,臨床問題をしっかり読み尽くすこと,病態生理を大事にすること.これらがサマライズからのメッセージであり,医師になるための最終ステップだと思います.皆さんがこの記事を読んで,サマライズを受講して合格を勝ち取ってくれることを願い,レビューを終わりにしたいと思います.ありがとうございました.


みるすきー

メジャー編のレビューはこちら!

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