医療安全って?
患者取り違えや薬剤を誤って投与してしまった・・・.そういう医療ミスが時々報道されると,医療安全について話題になります.研修医の皆さんは医療安全からほど遠い場所にいると思っていませんか?
医療行為をしている以上,誰しもが医療事故を起こし得ます.なので,早い段階から医療安全について意識しましょう!
起こしやすい事故
研修医が起こしやすい医療ミスや事故を挙げてみます.
(1)処方間違い
これはカルテに慣れない時期でも,慣れている時期でもやりがちなミスです.私自身も処方間違いはしたことがあり,そのたびに薬剤師さんにご迷惑をおかけしました.頻発するシチュエーションとしては,一人の患者に複数の診療科が絡んでいる時です.処方カレンダ(当院のカルテシステムでは処方オーダーする機能は処方カレンダと呼んでいます)では自科から出された薬と他科から出された薬が見分けがつきません.指導医から処方を伸ばしておいて,と言われて,とりあえず全ての薬の処方を伸ばしたら,他科の薬は今日までの投与で良かった・・・.こんな事例はよくあります.特に高齢化社会でポリファーマシーが問題となっている我が国では,そもそも投与されている薬が多い患者をよく見かけます.まずは自科の薬をしっかり把握して,間違いないようにしましょう.
(2)針刺し事故
これはもう説明の必要はないでしょう.私は幸いまだ経験がありませんが,同期で何人か経験しています.とにかく,針を扱うときは包丁を扱っている気持ちで医療行為に臨みましょう.
(3)ルートの巻き込み
これは私が1年目の4月(しかも2週目)の時の経験です.車椅子に乗った患者さんを移送しようとしたときに,ルートが車椅子の車輪に巻き込まれて抜去してしましました.幸い大事故には至らなかったものの,患者さんには大変不安な思いをさせてしまいました.車椅子に限らず,ベッド移送でも,ルート類やモニターのコードなど,紐がどこかに巻き込まれていないか確認しましょう.
(4)急変時のCall
「スタットコール」「コード・ブルー」.聞いたことありますか?院内急変時に職員を招集するために使われるコールです.もし院内で目の前に急変患者が出現したら,どうすればいいか,どこに連絡すれば良いか分かりますか?おそらく,どの病院でも「医療安全マニュアル」が配布されている,ないしは電子カルテ上で読めるようになっているはずです.スタットコールやコード・ブルーをする時の連絡先が載っているので,必ず目を通しておきましょう.私は一人でいるときに目の前で受け持ち患者が急変したことがありましたが,そのときスタットコールへの連絡先が分からず初期対応が遅れてしまった経験があります.是非,重要な連絡先は押さえておきましょう.
医療ミスは怒られることではない
国家試験でも出題があるので分かっているとは思いますが,医療ミスが起きたときは責任追及が目的になることはありません.しかし,医療事故は起こさないに限ります.是非,起こしやすい医療事故を習熟して,回避できるように研修しましょう.
みるすきー