この領域の損傷は永続的かつ重度な神経損傷を残す可能性があります.神経学的所見がとれることは前提となる分野なので気合いを入れていきましょう!
まとめノート
解説
頻度の多いものと緊急度の高いものは救急外来で常胃に想定しておく.これは基本です.
脊椎損傷においては,頸椎と胸腰椎移行部に多いことを知っておきましょう.頸髄損傷では四肢麻痺を来し,胸髄損傷以下では対麻痺になります.
さて,問題となる重篤な病態が思い浮かぶでしょうか?
呼吸筋麻痺と神経原性ショックですね.障害部位がC3レベルに達すると横隔膜と肋間筋の運動が失われてしまいます.
神経原性ショックについては特殊なショックなので,少し病態生理を詳しく解説しておきます.交感神経の主座は胸髄近くにあります.これが損傷されると,末梢血管が拡張し,血圧低下します.本来なら,ここで血圧低下に対して脈拍を上昇させる(代償機構)ことで血圧低下に対抗しようとしますが,心臓は交感神経からの反応を受け取れないため脈拍は上がりません.副交感神経優位の状態が続くので,徐脈になります.ますます血圧低下してしまいます.このように,血圧低下と徐脈が見られることが特徴的なショックです.外傷では大量出血による循環血液量減少性ショック,閉塞性ショックを除外してもなお,血圧低下と徐脈を認める場合は神経原性ショックを鑑別に挙げましょう.
Secondary Surveyでは,患者に意識がある場合とない場合で対応を分けます.意識がある場合は自発痛や運動痛を確認していきます.意識がない場合は,まとめノートに記載した所見を確認していきます.
画像診断はCTで十分です.日本はCTアクセスが良いので,基本的にはこれで損傷の評価は可能です.脊髄損傷などをさらに評価したい場合はMRIを追加しましょう(Vital Signの安定が大前提ですよ!).
みるすきー
参考文献
「JATEC第6版」