悪性腫瘍は日常的に病院でみる疾患です.悪性腫瘍に随伴して起こる出来事はマスターしておきたいですが,なかでも緊急疾患は押さえておきたいところです.今回は悪性腫瘍に伴う緊急疾患をまとめて解説します.
まとめノート
脊椎転移
50歳未満で癌の既往がなく,体重減少を認めず,1ヶ月で疼痛が改善すれば悪性疾患の可能性は低いとされる(ジェネラリストのための内科診断リファレンスより).担癌患者の腰痛,背部痛はそうでないと分かるまで,骨転移を疑い検査を行いましょう.最も有用な検査はMRIです.全身性の広がり(転移)を検索しに行く場合は骨シンチグラフィを行いましょう.基本の治療はまとめノートに記載のあるとおりです.放射線科と整形外科と協調しながら患者さんの診察に当たりましょう.
上大静脈症候群
限局性の浮腫を呈します.進行が早ければ早いほど症状が強くなることは覚えておきましょう.対症療法は酸素投与です.根治的な治療はステント留置と放射線照射ですね.しっかり専門医につなげられるようにしましょう.
腫瘍崩壊症候群
腫瘍崩壊症候群は化学療法を契機に起こることの多い疾患です.腫瘍細胞の崩壊により高K血症,高P血症,高尿酸血症,低Ca血症を来すのが主な病態です.これらに対して治療をしていきます.高K血症は別の項目で解説しますがGI療法を行いましょう.50%ブドウ糖液40ml+速効型インスリン(ヒューマリンR)8単位投与です.インスリンの作用でKを細胞内に取り込ませる療法です.
リン結合性ポリマー・・・.聞き慣れない言葉ですよね.セベラマー塩酸塩と言って,消化管内でリンと結合する治療薬です.腸閉塞には禁忌の治療薬です.
高尿酸血症に対してはラスプリガーゼやフェブキソスタットが使えます.これらの治療薬は癌化学療法に伴う高尿酸血症に対して適応です.
低Ca血症に対してはCa補充を行いましょう.あとは輸液ですね.とにかく薄めましょう.
基本の治療は以上です.
Oncologic Emergency
担癌患者のフォローはこれから先の日本の医療では重要なTopicです.しっかり基本の治療が出来るようになりましょう!
みるすきー
参考文献
「内科レジデントの鉄則」