救急医学2-11.喀血

医学

「口から血を吐きました」患者さんはそう言ってきます.そのまま指導医の前で復唱してはなりません.怒られます(経験済み).つまり吐血か喀血か,それ以外の原因かを鑑別できなくてはなりません.今回はその鑑別と初期対応を見ていきましょう.

まとめノート

解説

まずはABCの安定から入りましょう.口から血液が出ている場合は,いかなる場合でも気道確保が優先です.口腔内を吸引し,異物を取り除いて,呼吸状態を確認しましょう.
ABCを安定させたら,喀血か吐血か鼻血か鑑別しましょう.鑑別方法はまとめノートに記載してあるとおりです.全てこの通りにいつも上手く鑑別できるわけではありませんが,しっかり鑑別できる特徴は押さえてあるのでご参照ください.
そして,なんども喀血を繰り返されては困りますよね?そのためにも病歴や既往歴,薬剤内服歴は調べましょう.抗凝固薬を飲んでいるなんてことは,我が国ではざらにあります.
喀血に限らず,出血時はバイタルが急変する可能性が非常に高いです.研修医でも出来ることはありますよ.まずはルート確保しましょう!2本以上確保がベストです.ついでに血液検査のために採血,オーダーもしましょう.胸部X線で原因検索を行います.ここまでで循環動態の立て直しを図りましょう.ABCが安定したら,造影CT検査を施行して出血源の特定です.この後の治療は専門的なので成書に譲りますが,IVRや外来フォローが可能な場合はトラネキサム酸の投与で経過を見ることも考えましょう.

 出血の基本戦略
①輸液フェーズ(輸液はなるべくだらだら行わない)
②輸血フェーズ(可能な限り早めに輸血!)
③止血フェーズ(根本的止血を目指す)

出血時の基本戦略を示しました.この詳しい話は消化管出血のときにもお話ししますので,今はそんなものなんだな程度で大丈夫です.今後は,「口から血を吐いた」を医学的用語に変換できることを目標に研修しましょう!


みるすきー

参考文献
「救急外来ただいま診断中!」
「研修医のための内科診療ことはじめ 救急・病棟リファレンス」

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