頭部外傷は一次性と二次性の損傷に分けられる.二次性脳損傷を最小限に留められるようにしたい.また,危険な脳ヘルニアを早急に察知できるようになろう.
まとめノート







解説
一次性というのは脳組織が直接破壊されることである.二次性能損傷は低酸素血症や低血圧などによって生じる損傷のことを指す.二次性脳損傷に対しては全身管理で対応する.
起こりうる損傷の内容についてはまとめノートを参照されたい.
Primary Surveyでは「切迫するD」を早期に認知し,神経症状と身体診察を行う.
切迫するD
①GCS≦8,②急速に意識低下(GCS2点以上低下),③ヘルニア徴候(瞳孔左右差,片麻痺,高血圧と徐脈)の3つの場合を指す.対応は挿管,脳外科Call,CT.
Secondary Surveyでの身体診察ではとかく見落としやすい「耳(鼓膜所見)」,「頭皮」,「目(瞳孔所見など)」に気をつけよう.
頭部外傷では頭部CT撮影のタイミングが重要である.Primary Surveyでとにかく循環と呼吸を安定させよう.その上で「切迫するD」を認めれば,Secondary Surveyの最初で撮影する.
「切迫するD」がなければ,中等症の場合はSecondary Surveyの中で撮影する.軽症の場合は帰宅までの間に撮影する.
重症度別の対応について,まとめノートを参照しながら解説を進めよう.まず重症度分類だがGCSで行う.GCS14,15点であれば重症,GCS9〜13点であれば中等症,それ以外であれば軽症である.重症の場合,頭蓋内圧管理,循環管理,呼吸管理,凝固系に分けて管理する.ステロイドを投与する場面を見たことがある!という方がいらっしゃるかもしれないが,ステロイドは頭蓋内圧管理において有効性が示されていないので注意が必要だ.ちなみに余談であるが,上半身挙上は脳外科の手術の時にも行うことがあり,それは出血時である.脳外科手術の出血時は上半身挙上!これは覚えておこう.血圧管理は厳重にしよう.また,トラネキサム酸投与は有効なので積極的に使用したい.
手術適応は表に示した.基本的には脳外科Callしていると思うので,脳外科の先生に手術してもらうことになるだろう.軽症・中等症のフローチャートも示した.全例この通りに対応できるわけではないが,JATECに準拠し対応されたい.
みるすきー
参考文献
「JATEC第6版」