Dr.竜馬の病態で考える人工呼吸管理

医学書レビュー

人工呼吸器は国家試験ではあまり勉強しませんが,臨床,特に救急やICUではよく使われるデバイスです.今回は,初学者向けの人工呼吸器の本ついてレビューしていきます!

概要

著者の田中竜馬先生は有名な先生ではないでしょうか.主にICUに関する著書が多い先生ですね.血液ガス分析や集中治療室での病態の考え方,人工呼吸器に関する書物を執筆されています.今回紹介する本は人工呼吸器の使い方を病態から考えようというコンセプトで書かれています.

良い点

病態生理に弱くても読める本です.人工呼吸器の前に,呼吸生理や各疾患の病態を平易な言葉で解説し,じゃあ人工呼吸器の各設定やモードについて解説するという順番で書かれています.なので,よく勉強している学生さんなら読めるといっても過言ではないでしょう.いやさすがに言い過ぎか・・・.また,大事な内容は章が進んでも何回でも解説されるので,忘れてしまった!とかうまく理解が出来ない!などあっても,読み進められる本です.また,先生が得意とする血液ガス分析に関する解説も載っているので,一粒で二度美味しいです.最後に,症例毎のケーススタディーが載っているので実践力も上がりますね.良い復習になります.

悪い点

これは致し方のないことですが,人工呼吸器は実際に触らないと学べない領域です.まぁ医療機器全般に関して言えることですが・・・.なので,実際に触りながら勉強しないと理解しにくいでしょう.座学だけでは辛い部分です.なので,本自体は悪い点はないのですが,勉強の仕方としては読書だけで習得できるものではないでしょう.

結論

推奨度は☆★★★★/星4つです.やはり医療機器を解説する本として,間違いなく良書なのですが,それを実感するためには,実際に触りながらでないと厳しいです.なので,研修や実習で学びながら,読書することをお勧めします.間違っても,この本だけで人工呼吸器はマスターできるとは思わないでください.私も1年目の6月くらいに読んで挫折しましたが,それは人工呼吸器に触ったことがなかったからです.麻酔科ローテで人工呼吸管理を学び,その後に読んでみて良書だなと実感しました.皆さんも,人工呼吸器に触る機会が来たら読んでみましょう!


みるすきー

初期研修医の先生が最低限揃えておくべき本をこちらの記事でも紹介しています.是非参考にしてくださいね!

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