外傷外科学4-4.胸部外傷

医学

胸部には重要臓器が集中的に揃っており,適切な処置を行わなければ致死的です.正しい外傷のコントロールが出来るようになりたいですね.短時間でいかに病態を把握し,治療が出来るか.これを学んでいきましょう.

まとめノート

解説

身体所見とFAST,胸部X線から病態を把握しましょう.最小限の検査に留めたいです.また気胸の存在を確認するためにEFASTはありですね.感度,特異度ともに高く,胸部X線にも匹敵する検査です.簡便な検査なので活用したいところです.どうせ腹腔内出血の確認でエコーは使うので,気胸の存在も診断できるようになりましょう.肺エコーについては集中治療医学で解説する予定です.それまでお待ちを.
Primary Surveyでは気道閉塞を来す外傷,フレイルチェスト,開放性気胸,緊張性気胸,大量血胸,心タンポナーデを検索しに行きましょう.見落とすと致死的です.それぞれの検査と対処法をまとめておいたので学んでおきましょう.
Secondary SurveyではABCDの立て直しが行えたら,詳細な身体所見をとります.特に鎖骨の所見は見落とされがちです.骨折している可能性があるので,しっかり確認しましょう.
胸部X線読影手順の解説です.ゆっくり読影している暇はないので,ルーチン化して見落としがないように学んでいきましょう.まず気管,気管支から見ていきます.これは撮影体位を確認する意味もありますし,気管偏位を確認するためです.とかく初心者は肺野から見ようとしますが,肺野は誰もが見るので見落とし箇所は少ないです.それ以外は見落とし箇所が多い物と心得ましょう.気管を確認したら,肺野(肺実質)を見ていきます.挫傷や透過性,液体貯留などを見ていきます.次は縦隔.縦隔の拡大がないか(大動脈解離),心拡大がないか見ていきます.次が横隔膜.これは忘れられがちです.横隔膜の損傷,不自然なAirや腸管脱出がないか見ます.これでお終いじゃないです.骨軟部組織を見ましょう.皮下気腫,骨折の有無を確認して終わりです.結構手順が多いように思いますが,普段の病棟業務でルーチン化させてしまえば,咄嗟の時に読めるようになります.胸部X線は肺野(肺実質)だけを見ない.これは覚えておきましょう.胸部X線は改めて集中治療医学で読影手順を学びます.
根本的治療を要する胸部外傷については,まとめノートをご参照ください.


みるすきー

参考文献
「JATEC第6版」

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