外傷外科学4-9.頸部外傷

医学

頸部は言わずもがな重要臓器が集中している領域です.狭い領域なので,鈍的外傷よりかは穿通性外傷で緊張感が走る損傷でしょうか.今回は鈍的外傷と思われる1例と,穿通性外傷の1例を提示して見ていこうと思います.

まとめノート

解説

出血と気道閉塞.この二つは思い浮かぶでしょうか.よく自殺企図する方は頸部をナイフなどの鋭利物で狙うことが多いです.気道と血管を念頭に置いて初療に当たりましょう.気道確保は普段と一役違うやり方で行います.筋弛緩薬は使用しません.気道閉塞に陥るからです.
気道と血管損傷を疑うサインをHard Signと言います.まとめノートに記載してありますが,皮下気腫や変形,外出血など見て,聴いて,触って・・・で把握できる所見がほとんどです.
穿通性外傷における活動性出血では,圧迫止血またはバルーン挿入による止血を図ります.戦場ではバルーン挿入した方が死亡率が低かった,という報告もあります.日本のような整備された病院内では文献がないため分かりませんが,どちらかできるほうをやりましょう.

喉頭,気管損傷は繰り返し評価しましょう.数日経ってから閉塞が顕在化してくることがあるからです.基本方針は損傷を把握して,専門医にコンサルトでしょうか.我々初療を担当する人間がやるべきことは気道確保と確実な止血です.

最後のCase Studyは助からなかった症例ですが,穿通性外傷の1例として是非読んでください.ちなみに,こういう外傷を「杙創:よくそう」と言います.穿通性外傷のうち,刃物以外の比較的鈍的構造物の刺入した損傷を指す用語です.知っておくとドヤ顔出来るかも・・・?


みるすきー

参考文献
「JATEC第6版」

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