救急医学2-26.急性腎障害

医学

急性腎’不全’ではありません.急性腎障害です.お間違いのないよう.
救急やICUではよく見る疾患なので,しっかり鑑別できるようになりましょう.

まとめノート

解説

基本は腎機能の増悪を認めたら,以前の腎機能と比較しましょう.もともと腎機能が悪いのか,新規に腎機能増悪が出現したのか・・・これをしっかり見極める必要があります.急性腎障害(AKI)の場合,治る見込みがあるのでこちらから鑑別していきましょう.

まず腎臓の状態を形態的に確認したいですよね.腹部エコーを実施しましょう.腎が腫大(※ノートでは腎萎縮を認めなければAKIと判断する,と記載しましたが誤りです)していれば,AKIと判断します.例外はもちろんあり,糖尿病性腎症,多嚢胞性腎嚢胞,アミロイドーシス,HIV腎症です.これらは念頭に置いて,画像を確認しましょう.

引き続きエコーの出番がありますよ.今度は,腎前性,腎性,腎後性の鑑別に用います.特に腎後性の除外にエコーを使いましょう.水腎症があれば腎後性です.結石などの閉塞機転の存在を確認しましょう.
次に鑑別すべきは腎前性です.Volume評価(脱水になっていないか),病歴,血液検査,尿検査で鑑別していきましょう.
そして,それでも鑑別が残るのは腎性ですね.これはなかなか難しいです.専門科にコンサルトすることになるでしょうが,血管性,糸球体性,間質性腎炎,尿細管壊死あたりが考えられれば良いです.
これでも鑑別がつかなかったら特殊症例です.救急外来で出来ることはありません.一応,まとめノートには鑑別を記載しておきましたが,基本的には腎臓内科にコンサルトすることになるでしょう.

初診で確認しておきたいことをまとめておきましょう.病歴では排尿障害の有無,糖尿病,婦人科系悪性腫瘍,脊椎疾患の既往歴を調べましょう.内服薬は抗コリン薬,抗ヒスタミン薬の内服の有無,検査は基本的に先述したように腹部エコーです.

腎前性の評価項目について表でまとめました.言葉で説明するより,目で見て確認した方が早いのでご参照ください.腎前性の治療は補液,輸血です.Volumeを補いましょう.

最後に緊急透析の基準を載せておきました.私はこの基準をしっかり覚えているわけではないです.いつでも参照できるようにしてあります.皆さんも是非お役立てください.


みるすきー

参照文献
「内科レジデントの鉄則」
「救急外来ただいま診断中!」

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