肺炎.コロナ禍で最もよく耳にする病名となりました.少し前の死因統計では肺炎は第3位でした.それくらい身近な疾患ですが,肺炎はなんか軽く見られがちですね.酸素吸わせて,抗菌薬投与すりゃ治る!って感じなんでしょうか.敗血症性ショックに至る可能性もあるので,しっかり治療できるようになりましょう.
まとめノート
解説
まず何をもってして肺炎と疑うか?ですが,咳・痰・呼吸困難などの下気道症状がメインとなる患者さんです.逆に上気道症状のみだと肺炎の鑑別順位は下がります.そして,体温,心拍数,呼吸数,SpO2のいずれかのバイタルサインは崩れていることがほとんどです.肺炎を疑ったらFever work upですね.「抗菌薬まとめてみた」の感染症診療の考え方でもお話ししましたが,必ず培養一式は取りましょう.そして,胸部X線も追加で撮影ですね.その際,正面像だけでなく側面像も撮影すると下葉の肺炎を見落としにくくなりますよ.
市中肺炎の起因菌は・・・一応解説しておきましょう.国家試験では頻出です.市中肺炎では肺炎球菌,インフルエンザ桿菌,モラキセラを考えます.たまに,大酒家のKlebsiellaや動物接触歴のあるQ熱・オウム病,誤嚥リスクのある患者の嫌気性菌も鑑別に挙げたいところでしょうか.非定型肺炎ではマイコプラズマ,C.pneumoniae,レジオネラ(温泉やプールなど)を考えましょう.ここまで挙げられたら大体取り逃がしはないでしょう・・・いやいや結核がまだ残っています.初期研修や病棟実習で1回は見たことあるはず.「だらだら発熱だけが続いている」「症状は咳だけなんです!」みたいな人がいたら,結核菌も考慮しましょう.ここまで挙げられたら完璧です.検査の手順はまとめノートに記載したので,解説はそちらに譲ります.
治療効果判定はくれぐれも体温とCRPで判断しないでくださいね!臓器特異的所見とADL,グラム染色で判断です.抗菌薬投与期間は成書に書いてありますので,各々手持ちの参考書を確認してみてください.
みるすきー
参考文献
「救急外来ただいま診断中!」