救急医学2-13.急性冠症候群(ACS)

医学

疼痛シリーズ第1弾は胸痛です.胸痛で思い浮かべるべき疾患は急性冠症候群(ACS),緊張性気胸,大動脈解離,肺塞栓症,食道破裂です.今回からACS,大動脈解離,肺塞栓症を連続して扱っていきます.
トップバッターはACSです.ぎゅう〜と締め付けられるような痛み,重たい鉄板に押しつけられたような痛みなど,かなり激しい痛み方を患者さんは訴えます.想像しただけで痛そうですね・・・.今回は典型例はもちろん,非典型的な来院の仕方をするACS患者の見抜き方を学んでいきましょう!

まとめノート

解説

突然発症は恐ろしい・・・.これは前回の疼痛で学んだことですね.突然発症の胸痛で,冷や汗を伴っていて,ときたら誰もがACSを疑えるでしょう.問題はそれ以外の非典型例です.1/4は非典型例で来院すると言われています(ジェネラリストのための内科診断リファレンスより).呼吸困難,嘔気・嘔吐,失神,脱力,脱力感,冷や汗,めまいの患者で,Coronary risk factorを有している患者がいればしっかり心電図はとりましょう.特に,高齢者の不穏・嘔気・嘔吐患者では全例心電図を施行する.それくらいのオーバートリアージでも良いくらいです.見落とすよりもマシです.そして心電図を施行したら必ず以前の心電図と比較しましょう.以前の心電図がない場合は経時的に心電図測定しましょう.心電図は比較的準備も手間取らないですし,場所を取る検査でもありません.侵襲性もないですから,バンバン検査してもいいですよ.
さて,話は少し戻りますが,突然発症の問診の仕方にはコツがあります.それは「痛みが出たときに何をしていましたか?」という質問です.これは患者さんの日常を知るためではなく,突然発症であれば何時何分まで正確に言えるような痛みなんです.だから患者さんが「洗濯物を取り込もうと立った瞬間」など,〜した瞬間という表現を使えばかなりの確率で突然発症と考えて良いでしょう.救急外来は一刻を争う場ですが,こういう丁寧な問診が時短につながります.是非ご活用ください.


みるすきー

参考文献
「救急外来ただいま診断中!」
「ジェネラリストのための内科診断リファレンス」

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