救急医学2-22.消化管出血

医学

黒色便と血圧低下,Hb低下を認めれば消化管出血でしょ!
・・・そう思っていた時代が私にもありました.実はこの考え方は見落としやすい所見のとり方です.今回は出血時の戦略について学んでいきましょう.

まとめノート

解説

まず生理学的安定から図りましょう.なんとなく元気そうだから・・・など見た目で判断できないのが体内出血です.まずは2ルート確保して外液を全開投与.ルート確保したときに採血も同時にしてしまいましょう.出血源の精査は基本的にはエコーです.エコーで分からない場合は造影CT撮影に移行しましょう.施設によってはCTアクセスが良いのですぐCT,という場合もあるかもしれませんが,一応エコーはすればするほど訓練になるので,エコー検査は積極的に行いましょう.

さて,ここから出血に対する戦略です.どれくらい輸液をすればいいでしょうか?

生理学的に安定が得られなければ,早期に輸血に切り替えるのが望ましいです.特に外傷での体内出血では輸液量は3L/6hr以内にしたほうが生存率が良いという報告があります.

輸血フェーズに移りましょう.輸液不可でVital改善が得られない場合はMTP発動です.
RBC:FFP:PC=1:1:1で輸血します.MTP発動基準は施設毎に定められていると思うので,是非確認しておきましょう.輸血の目標値はまとめノートに記載しておきました.

さて,ここで冒頭の話に戻ります.出血を早期認知するにはどうすればいいでしょうか.評価項目は呼吸数上昇,意識レベル,Shock Indexで評価しましょう.Shock Indexは前回の腹痛の項目で紹介したと思うのでここでは詳しい説明は省略します.血圧で評価しないのは,循環血液量の30%を喪失してから血圧が下がるからです.これは末期の状態ですから,早期認知に役に立たないことはお分かりですね.代償性に脈拍数が上昇するので,それを検出するためにShock Indexを使います.ただし,Shock Indexが万能な指標ではないことは念頭に置いておきましょう.限定的な指標に過ぎないという報告もあります.ここに岡田遥平先生の産後出血におけるShock Indexの有用性についてまとめた記事があるので共有しておきます.ご参照ください.

産後出血のShock Indexは有用か?|岡田遥平 | Yohei Okada(救急医)
産後出血を予測することの意義 産後出血の対応にはたくさんの人と物が必要 出産後に出血が止まらずにショック状態となったとき救急医が産婦人科医の診療の応援をすることがあります。救急医は大量の輸血を含む全身の管理や止血のサポートを行います。 件数は多くないですが、こうした産後の危機的な出血が起きた場合には産婦人科医のみならず...

さて,Hbはどうでしょうか?Hb低下するのは輸液負荷で濃度が薄まってからです.急性期の出血では見かけの上では濃度低下しないので,やはりこれも早期認知には役に立たない指標です.

次に,止血フェーズに移りましょう.姑息的止血術にはトラネキサム酸の投与やREBOAがありますが,根本的には緊急内視鏡,IVR,外科手術ですね.緊急内視鏡の適応について迷うシーンも多々あるかと思いますが,最後のノートに補足でScoring Systemを紹介しました.是非ご参照ください.


みるすきー

参考文献
「救急外来ただいま診断中!」
「Hospitalist 内科エマージェンシー」

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